異常者の行方

07.6/2・3
長くなってしまったが今回もアルテベクトルの話。
イベントの内容は想像より遥かに芸術的だった。
計10人位の音楽家・画家・ダンサーがステージに上がり、音楽に合わせて踊ったり絵を描いたり。
時にはダンサーにペイントをしたりする。全て即興。
数十分置きにメンバーが入れ替わるのだが、曲を継続しながら交代したのが興味深かった。
ドラムがリズムを叩きながら入れ替わるのだ。つまり途中2人で同じドラムセットを叩いてる時間がある。
中にはステージで初対面の人たちもいたようだ。入れ替わる時に挨拶をしていた。

凄過ぎる。初対面の人たちとぶつけ本番で即興。そのレベルが半端ない。
しかもフツーの人は1人もいない。私には喰い合いに見えた。誰が一番目立つか的な。
実際バトル的な演奏もあって、凄く興奮したのを覚えている。

尾上さんにも勇気を持って話しかけた。でも大変失礼な事に名前を間違えて呼んでしまっていた。
申し訳ない。「おのうえ」さんね。みんなは間違えないように。
ずっと「おがみさん」って間違えて呼んでいたのに気さくに会話してくださり、最後まで訂正される事はなかった。
後から米本さんに「おのうえさんだよ」と言われても、にわかには信じられなかった。
それ程までに普通に会話してくださったのだ。なんて大きい…
私も見習おう。もう異常者でもギターでもどっちでもいいじゃないか。
こんな風にみんな優しくて、イメージしていたような神経質で怖い人はいなかった。

米本さんと尾上さん以外の方々はイベントで初めて知ったのだが、本当に運良く特に気になった方たちと謁見する事ができた。
WAVEDRUMやTAOといった自作楽器(WAVEDRUMはKORGから発売されている)を演奏されている本橋さん。
スピリチュアルなボイスとシブイ鍵盤(何て楽器だったんだろう…)を演奏されていたダークロウさん。

一番ドギモを抜かれたのは、短波ラジオなる楽器(というかただのラジオ?)を演奏されていた直江さん。
肩からミシンより大きいラジオを下げて、演奏している姿にパニックになった。
あれは一体何なんだ!と慌ててパンフレットを開き、楽器を確認した。短波ラジオという物だとわかっても「なぁんだ。ラジオか」とはならない。
ラジオ!?弾けるの!?と更に混乱。普段、何気なくミシンを弾いているけど、見る側の気持ちがよくわかった。あれはパニックになるわ。
ちなみにこれには後日談があって、この時直江さんにちゃんと挨拶できなかったんだけど、2年後に思わぬ再会をする事になった。
直江さんが米本さんのイベントに客としていらっしゃったのだが、そのイベントに私が出演していたのだ。
直江さんはそのミシニストが2年前にアルテベクトルに来た客だとは思うわけもなく、パニックになったらしい

これって地味に面白くない?お互いにお互いの楽器にパニックになってるっていう。
ちょっと運命的な再会に感動した。やはりスタンド使い同士はひかれあうのか。

ダンサーにも凄く気になる人がいた。市川さんというのだが、もう凄すぎて思わず負塊に誘ってしまった
だって、ガムテープの端を首に巻いて、そのまま客席を歩いたりするの。
もちろんガムテープは引っ張られてどんどん伸びる、そしてもちろん客に絡まる。あれには焦った。
「いやいや、これはアートなんだ。動揺したらダメだ!」って思って平然としていたんだけど、「うわ!コッチに来た!ガムテープが絡まる!」って内心かなりハラハラした。
冷静にガムテープをほどいて彼女を見ると、今度は壁を叩いてた。

彼女は絶対ビッグになる。そう思う。


こうして自分たちが進む方向はアート(こっち)だ!と感じ、いつかアルテベクトルに出る事を目標にして活動していこうと思ったのでした。
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