異常生活

07.6/2・3
アルテベクトルは2日間のイベントで、6月2日の14時から3日の6時、3日の13時〜22時まで行われた。
時間をよく見てほしい。間違ってはいない。初日16時間、翌日9時間、計25時間のイベントである。
夜通し行われるこのイベントを私はほとんど全て見た。私の中ではあたりまえというか、ノーマルな行動だったのだが、
後日この話をアルテベクトルの主催者である鈴木さんにしたら大変驚いていて「私生活まで異常だね」と言われた。
言われるまで気が付かなかった。言われてみると自分以外にそんな客はいなかった気がする。
でもそれ程までに楽しかったのだ。いや、楽しいという言葉だけじゃ足りない。
なんというか、五感全てが奮い立ったような。全身でそこにある全てを吸収しようとしている感じがした。
それ程に自分は無知で、そこには色々なものがあった。

初日はショッピングセンターで負塊のライヴをやった日である。
負塊のライヴを終えた私たちは急いでCloveに機材を返しに行き、そのまま開催地である横浜へと向かった。
Nに是非見せたかった私はNを誘ったのだ。そしてあわよくば今後負塊で出演しようと思っていた(その考えは甘かった事を知る)。
そして更には何かあるかも知れないと思い、念の為にミシンを持って行く事にした。

会場で米本さんと思われる人を発見したが勇気が無く、なかなか話しかけられなかった。
人見知りなのだ。基本話しかけられないと話せない。
知らない人に自分から話かけるのは苦手な上に、それが自分にとって重要な人となると物凄いプレッシャーになる。
しかも自分は田舎者の世間知らずで、相手はその道のプロ。緊張で相当ドキドキしたのを覚えている。

イベント2日目、そこには同級生のように談笑する2人の姿があった…

めちゃめちゃ馬が合ったのである。生まれて初めての体験だった。初対面の人とまるで古くからの友人の様に話す事ができるなんて…
ありえない。10歳以上年上の人と、まるで同級生のように会話ができるなんて。
地元にも音楽仲間はいるし音楽の話もするけど、あんなに伝わる事はまずない。
自分をわかってくれる人はいても、自分と同じ人がいないのだ。自分がやってきた事は間違いじゃなかったと思った。

横浜の会場近くは都会なのに自然が沢山あって、奥ゆきがあって、時間がゆっくり流れている感じがした。
喧騒や雑踏とは無縁だった。上野公園が街になった感じ。
とても居心地が良くて、癒された。建物に入れば非現実的なイベントをやっている。
本当に現実世界なのか疑いたくなるような環境だった。

Nは初日の夜に電車で帰宅した。私はというと、3日の朝6時に一旦イベントは終わり、また13時から始まるのだが、
6時に会場を締め出されてしまったのだ。てっきり会場に居られると思っていたので困った。
7時間どうするか。睡眠も取りたい。貧乏なのでホテルに泊まる案など無い。
駐車場は格納式なので車で寝る事もできない。とりあえず私は車を出庫し、ハードオフへ向かった

お金の無い私は楽器を新品で買う事などできないので、時間が空くとリサイクルショップ巡りが始まるのである。
いや、むしろ新品では買えない物狙いなのだが。ジャンクが宝の山に見える。

そしてハードオフに着いた私は駐車場で仮眠を取りながら、開店を待ったのだった。

思い返してみると確かに、私生活まで異常奏者かも知れない。
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