自作楽器の世界2

07.4
前回書き忘れましたが「サーキットベンディング」という言葉もKaseoさんを調べている時に知りました。
名称を知る前に既にやっている異常奏者…
でもそれは最初から言ってるように、ほとんどの事は私が知らないだけで既にあるという事です。
何が世界初で何が既にあるのか、私には区別が付きませんが。
ただ、知るまでは自分がオリジナルだと思っているので、知った時はやはりショックです。
今までで一番ショックだったのは、IZYO-SYAはver.Xで一度完成するのですが、ver.Xを作ってる最中にIZYO-SYAとウリ二つの楽器を見付けてしまった事です。
異常者を辞めようかと思った程ショックでした。それは今後紹介しますが、みなさんにも、にわかには信じられない事でしょう。
世界の裏にIZYO-SYAと全く同じ発想を持ってるとしか思えない楽器が存在するんです!
IZYO-SYAだけはオリジナルだと思っていたのでショックでした。IZYO-SYAが二番煎じなら異常奏者のアイデンティティって一体…
作ってる途中で知ってしまう事が一番モチベーションが下がります。もしかしたら知らぬが仏なのかも知れません…

*12.8.11 追記*
2012年の春にKaseoさんとオフ会をしまして、その時に知ったのですが、何とKaseoさんが活動を始めたのは私が活動を始めた1年前(2005年)だったそうです。
私がネットでKaseoさんを調べたのが2006年の冬で、その時にはもう日本のサーキットベンディングの頂点に君臨されていたのですが、それもそのはず、
サーキットベンディングはKaseoさんが日本に輸入した文化(言葉)だそうです。
2006年に私が調べた時にはもう既にサーキットベンディングって当たり前のように使われていたので、私が知らないだけで昔からあるんだと思ってたのですが、
たった1年の歴史では知らなくて当然でした。
回路に変態的な改造を加えている人はいたらしいのですが、Kaseoさんが始めた時は「サーキットベンディング」という言葉が日本に無く、確立もされていなかったそうです。
Kaseoさんは海外でサーキットベンディングをやっていた人(聞いたのですが失念してしまいました)を見て「これはどういう事なんだろう?」と思ったのが始めたきっかけだそうで、
その後自分でもやってみて、その海外の人にメールを送って「サーキットベンディングとはこういう事なのか?」というのを確認したそうです。
そんな話を伺い、感心していると「異常奏者はどうしてサーキットベンディグをやったの?」と訊かれたので、
私は、「改造しようと思って分解していたら偶然変な音が出る事を発見して」と答えました。そしたらKaseoさんに

そんなミュータントみたいなやつがいるんだ! と驚かれました。

これ、私にとって最高の褒め言葉で、めちゃめちゃ嬉しかったです。
サーキットベンディングもリボンコントローラーもハンドルも私が知らないだけで既にあったのですが、私の中ではオリジナルというか、
自分の中から生まれた物だったので、誇りがあったんです。それを評価されたみたいでとても嬉しかったです。
自然発生というか、突然変異というか。世界から切り離された所で生まれて、独自に育っていくガラパゴスモンスターになりたいと思っているので。
ブログやSNSをやらないのも、そもそもネット無精なのも、テレビを見ないのも、ケータイやメールをやらないのもその為。
いや、メール返さないのとサイト更新しないのは違うか。ごめんなさい。

ミュータント…いい言葉だ。
********

話は戻り、前回の続きです。年が明けてしばらくした頃、米本さんから待望のメールが届きました。
待望というより既に諦めていたのですが、返信が来たのです。
後から聞いた話ですが、米本さんは私からのメールの後すぐにサイトを見てくださったそうです。
しかしサイトの内容から「この人はどっちだろう…」と思い(多忙も重なり)返信が遅れたそうです。

無事、相互リンクをする事ができ、私は米本さんのライヴを見に行こうとスケジュールをチェックしました。
そこで私の人生を変えるイベントを知る事になりました。その名はアルテベクトル。
そのイベントの異常さはサイトを見ただけでわかりました。

サイトには総勢140人もの舞踏家・画家・音楽家の名が連ねてあり、それだけでアート色強いイベントである事がうかがえます。
注目したのは名前の次に書かれている個人の説明書きでした。誰一人としてフツーの事が書かれていないのです。
音楽家の演奏楽器の欄には自作楽器・民族楽器、聞いた事の無い名前の楽器ばかりが書かれています。
ギターやバイオリンの方もいるのですが、書かれているのが「サイケデリックギター」だったり、「バイオリン・けん玉」と書かれていて様子がおかしいのです。

ダンスには疎かったのですが、それにしても聞いた事のない事ばかりが書いてあります。
画家の欄にも即興絵画など気になる言葉が、あたかもあたりまえのように書かれていて、私はすぐに、
そうか!これは変態フェスティバルだな。と判断しました。

米本さんと共に気になっていた尾上さんも出演する事がわかり、これはもしかして本当に日本の奇楽器奏者が集まる大イベントなのでは!?と思うようになりました。
フジロックやサマソニの奇楽版みたいな。これは絶対に行かなくては!と思い、すぐにチケットを購入しました。
今まで何も知らないでやって来た私はまさかこんなイベントがあるとは思わず、もしかして奇楽にもちゃんとした音楽シーンがあるのか!?実は小さいと思っていたこの世界にも沢山住人がいるのか!?と焦りました。
世の中は広いので沢山いるとは思っていたのですが、さすがにそんなにはいないだろう、
趣味で自作楽器を作っている人たちは沢山いても、本気で変態を極めようとしている人は少ないだろうと思っていました。
しかし明らかにその道のスペシャリストと思われる方々が集まるイベントを知り、「自分だけではなかった」という安堵感ではなく、「ライバルがいっぱいいる!」という焦燥感に駆られたのです。
世界初とか、ある意味「最先端」だと思っていた自分が、実は凄く遅れているのかもしれないと思いました。

まずはこの世界を知らなければ!そしてこの道に進むにあたり挨拶をしに行かなければ!(やんちゃな意味ではなく本当の挨拶ね)と思いました。
このイベントに行く事がこの世界への第一歩になると思い、そして本当にこのイベントがこの世界への第一歩になったのです。
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