異常症候群

07.5/5
CLOVE関係者は皆、大人になれない。病気というか、呪いというか。
ほとんどがフリーだし、ファミコン好きだし、好物はハンバーグだ。中には20歳を過ぎてハイハイしてる奴までいる。
高校生に「もうアナタも大人なんだから…」と説教されている光景も日常茶飯事だ。
世に言う「ピーターパン・シンドローム」なのである。なので当然、5月5日は祭典が開かれる。

前回、ただのノコギリだったものは次の日にはエレクトリック・ソウとして生まれ変わっていた。

ダイソーのノコギリが

楽器になった。

これでノコギリを直接アンプに繋げるようになった。
切断音の他に何か無いか?と考えた私は、ミュージカル・ソウのようにメロディを弾く事を試みた。
弓では音は出なかったが(小さい)、マレットでなら音が出る事がわかり、色々試した結果マイナスドライバーで演奏する事にした。

またN村と2人で負塊だったのだが、本番前N村が「今日きづち使いたいんだけど、いい?」と聞いてきた。
断る理由も無かったので、もちろん了解はしたのだが、木槌をどうやって使うの?と聞くと、
「叩いて演奏する」と言う。私は、なるほど!ノコギリに合わせて木槌でリズムを演奏するんだな!
大工みたいな「和」の音を出すんだ!と思った。さすが負塊。私がどんなにトリッキーな楽器を持ってきても即座に対応してくる。と思っていた・・・

私はこの日、ノコギリでギターを弾く事にしていた。去年の大失敗のリベンジだ。
あの失敗を乗り越えなければ、これから先ノコギリを演奏していく事はできないと思ったのだ。
ずっと心につかえていたわだかまりを克服する時が来た。

そして本番、なぜかステージの中央には臼が鎮座していたが、私は特に気にする事もなく演奏を始めた。
もう負塊で何が起きても驚かない。そう思っていた。

私はマイナスドライバーで曲「異常者」のイントロを弾いた。
ノコギリでメロディを弾くにはノコギリをSの字に曲げないといけない。
しかしそこは100円のノコギリ。非常に硬く、親指に相当力を入れないと維持できない。

(これは長くはもたないぞ!早く出てきてくれ!)と心の中で叫んでいた。
しかし、今日に限って中々出てこない。親指は段々力が入らなくなり、音程を維持する事ができなくなっていた。
そんな中、沸く会場。叫び声と共に聞きなれない音が近付いてくる。

顔を上げるとそこにはキネを振り翳した男が鬼の形相で立っていたのだ!!

それは木槌じゃない!杵だよ!と思ったのもつかの間、男は臼めがけて杵を振り落とした!
鳴り響く轟音。私も最後の力を振り絞り、杵に合わせてメロディを演奏する。

何が大工だ!何が和の心だ!そりゃ餅つきだろうが!!と心の中はヒートアップする!
テンションを上げた私は、ノコギリをギターに当て、弾いた!

狂ったようにリズムに合わせ、ノコギリを振るう!
曲の途中、ネックを切り落としたが、それでもノコギリは止まらなかった。

そう、前回の失敗からノコギリで弦は弾けない事が分っていたので、それならば本体を弾けばいい。という結論に達していたのだ。

こうして大人になれない子供の日の祭典は、結局負塊は負塊なんだな。という思いと共に幕を閉じたのでした。
** その時のライヴ映像 **

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