第二期負塊

07.5/3
5/3のライヴはN村と2人で負塊。
負塊の時、N村は必ず後から登場する。

1曲目の演奏が始まると、どこからともなく叫び声が聞こえてくる。
そしてその叫び声は段々と大きくなっていく。客も異変に気付き、叫び声のする方を見る。すると、
生首を持った男が叫び声を上げて立っているのだ。

美容師が使う顔だけの人形があるのだが(髪が生えていてカットの練習に使う)、CLOVEに捨てられていた彼女をN村が発見してしまったのだ。
髪の毛をわしづかみ、叫び声を上げながら地面に叩きつける。
N村が言うには、彼女の価値を見出し、最も有効活用しているのは自分だ。感謝される事はあっても罰があたる事はない。との事。

必ず生首を持っているわけではなく、這って出てきたり、痙攣してたり、楽器と合体していたり(それは今後紹介)、その時によって違う。
今日はどこから出てくるんだ!?というコアなファンがいるかどうかは知らないが、メンバーにも秘密で凄い登場もあるのでテンションが上がる事も多い。
前に奇跡のイリュージョンを見た事もある(それも後日紹介)。負塊のみどころの一つだ。
こんな事を言ってしまうと、これからやり辛くなってしまうかも知れないが。

これはフルテンの演奏でもマイクを通さないで叫び声が聞こえるNならではの登場だと思う。
彼の声量はハンパない。最近(2008年)は声の出し方を変えて多少落ち着いたが、この頃は100dBを超えていた。
ドラムでも割れない設定で声が割れるのだ。これはハンパない事。公害レベルである。

この日は2人。つまり最初は私1人しかステージにいない。
そしてステージにあるのは木の板の上に乗ったミシンと、ノコギリを持った男が1人。
傍らにはベースが何本も転がっている。
コイツは一体これから何をする気なんだ!?と思われた事だろう。

そして私はおもむろに、手にしたノコギリで木材を切り始めた。
その振動をミシンのピックアップが拾い、アンプから切断音が鳴り響いた。

静まり返る会場にノコギリの音がこだまする。そして、どこからともなく悲鳴が聞こえてくる…N村の登場だ。

N村は何本も転がってるベースの内2本を手にすると、同時に弾き始めた!
ノコギリの音が加速していく。そのリズムに合わせてN村が弾き叫ぶ!

ノコギリの音はリズムだったのだ。かつて、もう二度とライヴでノコギリは使わないと誓った私だった。しかし…
この日のリハは前日に行ったのだが、そこに無造作にノコギリが置いてあったのだ。ライヴハウスにノコギリ?と思う事も無く、
うむ。これを弾けと言う事だな?と解釈した私は、どこからか板まで探してきて全く予定に無かったノコギリ演奏を始めたのだ。

そんなノコギリ演奏だったが、N村の登場には丁度良く。シーンを演出するのに多大な効果があった。
Fが照明を常夜灯のような薄暗い赤にしてくれたお陰で、真っ暗な会場にノコギリの音と叫び声が響くという理想的な登場になった。
隣にいる人が見えない程の暗さの中、尋常じゃない叫び声。そして何かを切る音。
姿は見えないのに色んな方向から「怖い」音が聞こえてくる。まさにお化け屋敷。

イントロを切り終えた私はノコギリを投げ捨て、ミシンに持ち替えた。
N村は曲が進むにつれて、ベースの数が1本→2本→3本→4本→5本と変化していった。
こうして粗削りながらも新たな一歩を踏み出した負塊だった。


*08.12.6 追記*
先日この時のビデオが出てきまして、見てみると総合的表現はまだ先の話でした。
でもそのキッカケになったのはN村の多重演奏と私のミシンだと思うので、やはりこの時から負塊は第二期に区別できると思います。
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