異常天職
〜06.9/24
前回書いたように半年も前の事を書いているので、あまり記憶が残っていない。
だからここからは大雑把にしか書けないかも知れない。思い出したら追記って感じでやっていこうと思う。
迫る9/24のライヴ。しかもその日はドラム不在という事が決まっていた。
ついにこの時が来た。ミシンをリズムマシンとして使うのだ。しかし現状ではテンポを即座に設定する事が難しい。
そこでミシン・コントローラーを作る事にした。
これでダイヤルやフェーダー・フットペダルを駆使してテンポを設定出来るようになった。
あたかも裁縫道具が入っているかのようなダイソーのケースがステキだ。
ミシンの横にあっても全く違和感が無い。
次はミシンアレンジだ。前回と違い今回はミシンを中心に演奏する事になる。
みんなミシンに合わせて演奏する。ただ流しているだけではダメだ。ちゃんとミシンを演奏する者が必要だろう。
前回ライヴで使ったUは「ミシンだけ演奏するのは厳しい」と言っていた。
ここは流れ的に音源を作った私が演奏するべきだろう。しかし異常者とミシンを同時に演奏するのはカナリ困難だ。
キーボードなら何とかなるカモ…と思った私は、今回は異常者を諦めミシン&キーボードで出る事にしたのだ。
※この時のミシンは演奏的にミシンだけだと暇だが、他の楽器と同時となると慌ただしい。という微妙な演奏能力だった。
ミシンアレンジの為に練習に入った。当初リズムマシンとして発案したミシンだったが、いざ合わせてみると非常に合わせ辛い!
頭(リズムの始まりの事)が無いのだ。普通人間は強弱やリズムでリズムの始まり(小節の始まり)を表現するが、ミシンにはそんな概念が無い。
ずーっと同じ音を刻んでいる(実際はムラがある)。だから聞いてるうちに何小節目の何拍目か分からなくなってしまうのだ。
練習を繰り返し、やっとミシンアレンジが決まった。そして実際にキーボードと同時に演奏する為に最後の練習に入った。
ライヴ前日の事だった(それまで私はミシンだけで練習していた)。
練習が終わったのが午後10時位だったと記憶している。
結果は散々だった。リズムを取る事が難しく何度やっても演奏がバラバラになってしまうのだ。
ライヴ前日だと言うのに大きな問題に座礁してしまった。暗雲が立ち込める…
しかし、そんな沈黙を破るかのようにNがつぶやいた…
ミシン弾き語り・・・?
みんなブッ飛んだ。異様に違和感のあるフレーズ「ミシン弾き語り」。意味が解らない。しかし皆一様に「これだ!!」と感じた。
もう迷いは無かった。Nは椅子に座り、ベースを持ち、マイクをセッティングした。もちろんテーブルにはミシンが乗っている。
初めてミシンを弾くN。操作が難しくなってしまった為、演奏出来なかったU。まだ不慣れな為、使いこなせていない異常奏者。
機械オンチのNがどこまで演奏出来るかがネックだった・・・
・・・・・
彼の演奏は天才的だった…生まれて初めて才能という言葉を目の当たりにした。
そう、まさに彼はミシンを演奏する為に生まれてきたような男だったのだ。彼の演奏には嫉妬さえ感じた。
彼はついに天職を見付けたのだ。ベースとミシンが一致した事によりリズムの問題も解決された。
弾けば弾く程上手くなっていくN。気が付けば日付が変わっていた。今日のライヴが楽しみだ。
そしてライヴ。「ベース&ミシン弾き語り」「ギター」「異常者」という3人構成。
その日たしかに何かが変わった事は間違いない。新しい道が開かれたのだ。
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