異常者の目覚め

06.5/1〜9
工房って勝手に呼んでるだけで特に専用機材があるわけではない。普通に自宅だ。

異常者を自宅に持って帰って来たわけだが、はっきり言ってこの時点ではまだ家に上げたくもなかった。
なにせ長い間シロアリのお世話になっていた物だ。しかもボディに貼られていたシールを剥がしたり殺虫剤をかけたりで酷くベタつく。
ぶっちゃけ触りたくもない。少しだけ潔癖な私はリサイクルショップの楽器でも音が気になっても触りたくない物がよくある。
UやFは平気で触っていたが、私の作業台はベッドなので(それも問題だが)こんな物を上げられるハズがない。
まずはこの問題から解決しよう。

まず、折角組み立てた異常者を再度バラバラにする。今回は徹底的にバラバラにする。外せる物は全て外す。ネックも外す。
次に丸裸になった異常者(この言葉の組み合わせは気持ち悪いが)をサンダー(電動ヤスリ)で削っていく。
灰色の下から緑色が出てきた。布袋色は解らなかった。
すっかりキレイになった異常者。しかし元の気味の悪い色こそが異常者のアイデンティティだと感じた私は再度あの気持ちの悪い灰色を再現する事にした。

しかしうちには灰色の塗料が無かった。唯一灰色だったのはドータイド位の物だ。ドータイドは電気を通す塗料でギターのザグリなどに塗られている灰色の塗料の事だ。
これはシールドとして働き、ノイズを遮断する効果がある。異常者のノイズ問題も課題だったので、どうせならノイズレスにしよう。
ボディ全体にドータイドを塗りたくる事にした。

塗料を塗る前にやる事があった。スピーカーの穴をどうにかしなければ!
穴の裏から光が漏れる為、三日月にしたが全然良くなかったので外した。側面に板を張り、裏側にフタを付けた。


板を貼り、ツマミを付けた。


裏は2箇所フタが必要だった。

ネックもボディに合わせて色を塗る事にした。ポジションマークには「死」という言葉がふさわしいと思った。
ヘッドには普通メーカー名が入るのだが、そこはやはり「異常者」と書くべきだろう。
ボディデザインはFのリクエストであるスギゾー仕様(アルミが表面に付いているギターの事、アルミには火を付けたような形跡がある)にする事にした。
パーツ類も全てピカールで磨き直し、装着した。


ポジションマークは途中からドクロマークになる。

*08.10.14 追記*
このドクロのポジションマーク、まんまそっくりのギターを発見しました!
しかもフェンダーUSAで!50万もするギターにこのドクロポジションマークが施されてました!
まぁ、ありがちな発想ではあるのですが、本当にそっくりだったのがウケました。
ウィル・レイって人のモデルみたい。

FENDER より
WILL RAY TELECASTER
********



12フレットは赤い文字で…


ネック横のポジションマークは遭難風に。


似ても似つかぬスギゾー風。「狂」の文字がアクセント。

ここで反省しなければならない事があった。ヘラを加工して付けたピックガードだが、全く不要だった。むしろ突き出た部分が足に刺さり痛い。
あそこに足が引っ掛かり弾き易くなるかと思ったが逆効果だった。外す事にした。
そしてこの教訓から「無駄な物は付けない」というコンセプトが生まれる事になる。
ただでさえ、ふざけていると思われそうな楽器だ。飾りは付けない。意味の無いパーツは付けないようにしよう。

また思い出したが、最初ZO-3を改造する時、どういう風にする?って話になって、Fがシタールを作ろう!って言い出して改造を始めたんだった。
(シタールを)「弾いた事も無いのに作るなんて変な話だよ!」って言葉に爆笑した記憶がある。

製作者(私)の意図としては、1・2弦はパワーコード用。3〜5弦はスライド用。6・7弦はシタールギター風(実物とは全く違う。あくまで風)という考えだった。
ギターで最も重要な3弦を無くす事でこれはもうギターではない!という事を強調したかった。
そこで弦は異常者の1弦にギターで言う5弦。異常者の2弦にギターで言う6弦、同じく3弦に1弦、4弦に2弦、5弦に4弦を張る事にした。
これでは解り難いと思うので以下に表にする。

異常者の ギターで言う
1弦に 5弦を張る
2弦に 6弦を張る
3弦に 1弦を張る
4弦に 2弦を張る
5弦に 4弦を張る
6弦(ボディ)に 3弦を張る
7弦(ボディ)に 1弦を張る

普通のギターと比べ、ほぼ真逆である。

1弦が2本必要だが、それは私も愛用しているダダリオの1弦が2本入っているやつが有効だ。
なぜ1弦が2本入っているか不明だが、06年7月の現時点ではおまけとして1弦が余分に入っている。
時に凄く助かるそんな1弦だが、基本的に迷惑だ。
新品なので捨てるわけにもいかず、かと言って1弦だけ張り替える事もない。
ひたすら増え続ける。いたずら位にしか使い道がない。

異常者はこの点をクリアーした初の楽器とも言えよう!
ダダリオの1弦をあます事無く使い切れるのだ!

元々1・2弦が張られていた所に5・6弦を張る事になり問題が生じた。ナットとペグまでの距離が長い為テンションが緩くなりピッチが安定しないのだ。
更にナットに弦が引っ掛からず、外れてしまうのだ。
カモメの位置をナット寄りにし、解決しようとしたが相手は5・6弦だ。カモメでは強度的に不安である。
そこでスタジオの廃棄パーツの中から私が選んだのはミニシンバルだった。

実際私はそれが何か解らずに付けたのだがFの話ではそれはシンバルらしい。直径4cm足らずの小さいシンバルだ。
※後日思ったが、これはタンバリンのパーツではないだろうか?


これで問題は解決したが異常者の「者」が隠れてしまった。これではただの「異常」だ。

10日かけて出来た物がこれ。美しく(?)生まれ変わった。



ツマミは飾りではなく、ちゃんと配線した。それは次回紹介しようと思う。


う○こみたいなステキツマミ。

前へ 次へ

戻る

© 2006 異常奏者