鐘の音
空は茜に染まり
水は黄金(こがね)をのむ
幼き頃は陽の沈む間際(ま)に
ただ鼓動が震え
意を知らぬが故の恐ろしさと思い入れば
かつて見た夕陽(せきよう)は ごまんの灯穂が揺らめき
今となっては ただ一片のともしびとなりいる
それ故のわびしさか
胸にわきおこる さざなみのごとき静けさよ
加速する夕景(せきえい)の中
意を知りた静寂に 凜然たる鐘の音(ね)が響く
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© 2006 異常奏者