僕がぼくと呼んでいるもの



あれ? あれ?
僕の手は? 僕の足は? 僕の体は?
無い 無い 僕が無い

あれ? あれ?
明日は? 昨日は? 未来は? 過去は?
無い 無い 今が無い




ある日
僕の身体は無くなって
僕の時間も無くなって

どこへでも行けて
いつへでも行けて

ほんのちょっと 自由を手に入れた


でも僕は
その ほんのちょっとの自由を 持て余して

ぼくである事を見失った


僕は カキカタ の分らない文字をなぞるように

何度も書いては消した

宙に浮かんでは
空(くう)に溶けた

そして気付く


ぼくである事は 限りない不自由の表れであると



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