SPICEB

10.1/24
前回説明から3年が経ち、久しぶりにSPICEを検索してみると以前とは見違えるように初心者向けのサイトが増えていた。
なのでここからはもう少し踏み込んで説明していきたいと思う。

まず、前回の説明の後、私がつまづいた所。
PSPICEでは英字の大文字・小文字を区別しない。よってメガを入力しようとして"1M"とやるとミリとして認識される。
メガを入力するには"meg"を使う。メガ以外は一般的な書き方で大丈夫。
p ピコ
n ナノ
u マイクロ
m ミリ
k キロ
meg メガ
0.1と書いても100mと書いても同じ。

ちなみにHzやVなどの単位は無視されるので無くても動作する。
例えばVDCの電圧、Vdcの部分を消して"10"と入力してもDC10Vとして認識される。
予約語以外の文字が無視される事を逆手にとって簡易メモとしても使える。
例:10V_handle_voltなど。ただしスペースは使えないので注意。

VPULSEの使い方

VSINではFREQに500Hzと入力する事によって周波数を設定したが、VPULSEでは秒で入力する。

これは各値を以下のように設定した時の波形だ。
V1 = -1V (初期電圧)
V2 = 2V (パルス電圧)
TD = 5ms (遅延時間)
TR = 5ms (立ち上がり時間)
TF = 5ms (立ち下り時間)
PW = 5ms (パルス幅)
PER = 20ms (周期)

TR・TFに0を入力しても0.5msになってしまうので注意。1pなどと設定すれば限りなく0に近くできる。
PWに0は設定できない。PERに0を設定すると1ショットになる。
例えば簡易矩形波なら
TD = 0
TR = 1p
TF = 1p
PW = 10m
PER = 20m
簡易三角波は
TD = 0
TR = 10m
TF = 10m
PW = 1p
PER = 20m
などとすれば作れる(どちらも周波数は50Hz)。

ショートカット

いちいちアイコンをクリックするのは面倒だと思う。以下のショートカットが便利だ。
ただしPSPICEのバージョンによっては違うかも知れないので、使う前に確認が必要。
メニューから確認できる(じゃあここで紹介しなくてもいいのでは…)。

シミュレート実行 → F11
部品追加 → Shift+P
配線 → Shift+W
グランド → Shift+G
水平反転 → h
垂直反転 → v
回転 → Ctrl+R
選択解除やキャンセル → Esc

印刷の時タイトルやグリッドを消すには

OptionsよりSchematic Page Propertiesを開き、Grid Referenceタブを選択。
Border VisibleやTitle Block VisibleのPrintedのチェックを外す。
Displayedのチェックを外せば画面上からも表示が消える。


Design Cacheのクリア

回路図を作っていくとDesign Cacheに、以前追加したが今は使っていないパーツがどんどん溜まっていくと思う。
キャッシュクリアする事によって、今使っているパーツ以外を表示から消す事ができる。
まず通常画面左に表示されるプロジェクトマネージャから画像を参考にDesign Casheフォルダを開く。
プロジェクトマネージャが表示されていない場合は回路図に隠れているかも知れないので回路図を最小化してみる。
画像のようにDesign Cacheを選択した状態でメニューからDesign→Cleanup Cacheを実行する。




エラーメッセージ

よく出るエラーメッセージと、その意味を紹介する。
まず体験版の制限関係から。体験版では部品数や回路規模に制限があるので、 以下のようなエラーが出た場合は工夫しなければいけない。
以下に紹介するエラーの制限はv9.2の物だが、バージョンが違うと制限も変わるので内容が少し違うかも知れない。

ERROR -- EVALUATION VERSION analog Node Limit(64 Nodes)Exceeded!
 ※ノードが制限を超えているので、部品を減らしたりして回路を小さくする。
 ノードってのは説明しづらいけど、同じ電気が流れている部分(電位という)の事。
 抵抗で分圧したりすると電源電圧と分圧した電圧の2つができる。この1つ1つがノード。
 配線をダブルクリックするとそのノードの名前が表示される。

EVALUATION VERSION Limit Exceeded for "Q" Devices!
 ※トランジスタの数が制限を越えてるので数を減らす。

EVALUATION VERSION Limit Exceeded for "U" Devices!
 ※ICの数が多いので減らす。

ERROR -- Circuit Too Large!
 ※回路の制限を越えているので、トランジスタやICを減らす。


以下はその他のエラーメッセージ。今後追加していく。

ERROR -- Model xxx used by xxx is undefined
ERROR -- Subcircuit xxx used by xxx is undefined
 ※.libファイルを指定していないと表示される(xxxは対象モデル名)。設定方法はSPICEAを参照。

ERROR -- Node Nxxxxx is floating
 ※配線をしていないと表示される。最も単純なエラーだが、最もタチの悪いエラー。
 繋がっているように見えても繋がっていない事があるので確認する。
 GNDを設定していなくても表示されるので、正しくGNDを接続する。
 また、olbファイルのみでlibファイルがない部品を使っても表示されるのでlibを用意する。


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