鐘の音



空は茜に染まり
水は黄金(こがね)をのむ

幼き頃は陽の沈む間際(ま)に
ただ鼓動が震え

意を知らぬが故の恐ろしさと思い入れば

かつて見た夕陽(せきよう)は ごまんの灯穂が揺らめき
今となっては ただ一片のともしびとなりいる

それ故のわびしさか
胸にわきおこる さざなみのごとき静けさよ

加速する夕景(せきえい)の中
意を知りた静寂に 凜然たる鐘の音(ね)が響く


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