アダプタの見分け方


アダプタについて何度も聞かれるので、ここに書く事にしました。
何と言うか…アダプター界は混沌に満ち溢れています。全然違うアダプターを平気で繋いで使ってる人がカナリ多いです。

 9Vだから同じだ。で、繋いだら二度と動く事は無かった…
 昨日まで平気だったのに急に電源が入らなくなった…

とそんな話を聞いて、見てみると全然違うアダプターを繋いでいた。
そんな光景に何度も出くわしました。
中にはファミコンのアダプターなら何でも動く。と言っている人もいました。

んなわけねーだろ

分からないなら純正のアダプターを買えばいいのに…とは思いますが、実際純正品は3千円位するし、手持ちで似たようなアダプターがあれば使ってしまう気持ちも分かります。
でもイチかバチか試してみて動いた=合ってるとは限りません。
合っていないと調子が悪くなったり音が悪くなったり、ある日突然、動かなくなる。という事が起きたりします。

楽器が減る事はミュージシャンにとって大きな損失なので、どうしても純正アダプタが手に入らない人たちの為に代替品を探す方法を記す事にします。
純正品が買える人は純正品を買って下さい。仕方なく代替品を使う人は自己責任で正しい知識の下に行って下さい。


@第一の分岐
まずアダプタには大きく2種類あります。PC関連や携帯などに使われるスイッチング方式と楽器に使われるトランス方式です。
軽いのがスイッチング、重いのがトランス式です。 トランス式の方が音が良いとか、スイッチング方式はノイズが出ると言われ、
楽器界ではトランス式が使われてきましたが、最近では楽器用もスイッチング式のアダプタが増えてきました。
多くの性能が圧倒的に勝るからです。同じ出力なら、軽いし、小さいし、発熱も少なく、省エネです。
いずれ楽器界でもスイッチング方式が主流になるでしょう。
しかし2009年現時点ではトランス式が主流なので、トランス式を先に説明します。

トランス式

その名の通りトランスが入っているので箱型で大きく、重い

スイッチング式

楽器以外はスイッチング方式が主流。左下のように見た目はトランス式の物もあるが、やたら軽いので区別が付く


A第二の分岐
電気に交流と直流があるようにアダプターにも交流(AC)と直流(DC)がある。
直流の物が多いので確認しない人も多いが、絶対に確認する事!
DC動作の楽器にACアダプタを繋ぐと大変危険です(ショートと同じ事が起きる。大抵は一瞬でアダプタが壊れるが、場合によっては火が出る・感電する事も考えられる。
また、機器側が壊れる可能性もある。繋いだ瞬間、機器側から破裂音がしたり異臭や煙が出た場合には使い続けず修理に出す事)。
Line6やBOSSのACアダプタはDC用のコネクタには入らないように設計されていますが(径が違う)、DC用と同じプラグの物もあるので必ず確認して下さい。
交流があるのはトランス式の話で、スイッチング方式のアダプターは直流です。


B第三の分岐
DCアダプタには更にセンターマイナス(負電源)とセンタープラス(正電源)があります。 ※注2
これは右回りか左回りか、みたいな物で、これが合わないと動きません。
これが逆だと電池を±逆に付けるようなもんです。保護回路の無い機器では機器側が壊れる恐れがあります。

※注2
センターの±は正負電源とは関係無い事が判明しました。ただ単にセンターがプラスかマイナスかの違いみたいです。
つまりセンター±にかかわらずグランドにはマイナス側が落とされています(私が確認した楽器は全てそうでした)。
この意味がわからない人は、理解する必要はありません。また後で説明します。
ここではセンターマイナスとセンタープラスがある事だけ覚えて下さい。


C第四の分岐
最後に最もみなさんが勘違いしている部分です。そして最も声を大にして言いたい事です。
アダプタには「安定化電源」と「非安定化電源」があります。
一体何が違うのか?分かり易く言うと、出力電圧が表示のままかどうか
それが違います。例えば出力9Vと書かれていた場合、安定化電源なら9Vがキッチリと出ています。
しかし非安定化電源は12V〜14V位が出力されているのです(開放時)。

アダプタの嘘つき!
そうなんです。みんな出力の表示に騙されて酷い目にあっているんです。
非安定化電源の出力は、正しい楽器と繋いで初めて表示通りになるんです。
困った事にこの非安定化電源、見た目では区別が付きません。
テスターで計測するしかないです。なので後で表を作っていきたいと思っています。
そんな特殊なアダプターって一部だろ?って思っているアナタ!全然違います。
現在大変多くの非安定化電源が存在します。
調子が悪い・音が悪い・ノイズが出る、などアダプタが原因であった事が数多くあります。
動いていても、だんだん壊れていく・ある日突然壊れる場合もあります。

なんだか分からんけどコレ繋いだら動くんだから合ってんだろ。という状況。
それは本来なら電池6本で動く所を電池10本繋いだら動いた→合ってる。というような物。
安全性から余裕を持たせて設計してあるので、それでも動く事もあります。
しかし当然、早く壊れます。そんな時、適当に10本繋いで壊した人は自分が10本繋いだせいで壊れたとは気付きません。
個人的に非常に不愉快です。知ったか振らないで、ちゃんと知識を持ちましょう。
また、これもトランス式の話で、スイッチング式のアダプタは表示通りの電圧が出ています(安定化電源)。


スペックの確認
それでは本体の表示からここまでの確認をします。大体こんな風に書かれていると思います。

入力は家庭用コンセントの規格。日本製ならこう書かれています。
重要なのは出力です。出力を見てみると、

出力:DC12V 700mA

と書かれています。まずDCと書かれているのでこれは直流出力のアダプタです。
次に12V、安定化電源なら12Vが出力されています。
次に700mA、ここも大切です。これは最大700mAまで流せるよ。という事。
この表示が多い分には代替可能です。多ければ多い程、余裕があるという事なので。
ただしサイズは大きく重くなってしまいますが。
逆に容量が少ないと危険です。楽器の消費電流に合わせて必ず余裕を持った容量のアダプタを使って下さい!
機器の消費電流と同じ出力電流のアダプタを使っては危険です!
純正品の出力電流がわからない時は消費電流の2倍の出力のアダプタを使うようにして下さい。
たまに100mAとか出力の小さいアダプタもあるので注意が必要です。
コンパクトエフェクターなどは小電流ですが、キーボードとか大きい物はそれなりに電流を食います。
消費電流がわからない場合は、純正品より大きい容量のアダプタを選びましょう。
また、ここがmA表示ではなくVA表示の物もあります。VAはWと同じく電圧×電流です。DC12V 700mA=DC12V 8.4VAです。

そして枠外に+のマークと−のマークがあります。この図だとセンターマイナスですね。
ヤマハはもっぱらセンタープラス、それ以外のメーカーはセンターマイナスが多いですが、違う場合もあるのでメーカーに関わらず毎回チェックして下さい。
(同じメーカーでも±が違う事があります)


基礎知識はここまで。できるだけ簡単に書いてみたけど分かりました?
まとめると、このようになります。

いかに自分が適当にアダプターを選んできたかが分かったでしょうか?
ラインの音は電気で出来てます。その電気はアダプタから供給されています。
電気は魔法ではありません。現状は例えるなら「水なら何でもいいんでしょ?」と、その辺の泥水でスープを作っている状態。
いつか病気になります(タフな奴もいるが)。実際アダプタを換えると音も変わります。

次回はもう少し踏み込んでみたいと思います。
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